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こんにちは、ちゃぴっとです。
前回、日本株の売買代金の歴史という記事で「売買代金は市場の体温計」という話を書きました。今回はその続編です。
2026年12月、市場の歴史にまた新しい1ページが加わります。米国株の取引時間が大幅に延長され、1日23時間、ほぼ眠らない市場になるのです。
「米国株の話でしょ? 日本株には関係ないんじゃ……」と思うかもしれませんが、実はこれ、日本の投資家と日本市場にじわじわ効いてくる変化だと思っています。今日は、何が起きるのか・日本株にどう影響するのか・私たち長期投資家はどう構えればいいのかを整理します。
2026年12月6日、米国株が「23時間市場」になる
まず事実の整理から。
米国現地時間2026年12月6日(日)21時——日本時間では12月7日(月)午前11時——から、米国株の時間外取引に「オーバーナイトセッション」が新設されます。
これまでの米国株の取引時間は、立会時間(米東部時間9時30分〜16時)の前後にプレマーケット・アフターマーケットを合わせて1日16時間程度でした。ここに深夜帯のセッションが加わり、米東部時間20時〜21時の1時間だけ市場が止まる、実質「ほぼ24時間市場」になります。この1時間は決済処理と取引日の切り替えに使われます。
日本の投資家にとっての最大の変化
日本時間に直すと、この変化のインパクトがよく分かります。
| セッション | 米東部時間 | 日本時間(冬時間) |
|---|---|---|
| オーバーナイト(新設) | 21:00〜翌4:00 | 11:00〜18:00 |
| プレマーケット | 4:00〜9:30 | 18:00〜23:30 |
| 立会時間 | 9:30〜16:00 | 23:30〜翌6:00 |
| アフターマーケット | 16:00〜20:00 | 6:00〜10:00 |
注目は一番上の行です。新設されるオーバーナイトセッションは、日本時間の午前11時〜夕方18時ごろ。つまり、日本の日中——東京市場が開いているまさにその時間帯に、米国株がリアルタイムで売買できるようになるのです。
「米国株を買うために夜更かしする」という、日本の米国株投資家おなじみの光景が、過去のものになるかもしれません。
日本のネット証券も対応を進めています。松井証券とマネックス証券は12月6日からの対応を発表済みで、楽天証券・SBI証券なども段階的に拡大中とのこと。数年後には「日中に米国株を売買するのが当たり前」になっている可能性は十分あります。
日本株への影響を考える
さて、本題です。米国株が日本の日中に取引できるようになると、日本株には何が起きるのでしょうか。私は3つの筋があると考えています。
影響①: 個人マネーの「時間の奪い合い」が始まる
これまで日本の個人投資家の1日は、ざっくり「昼は日本株、夜は米国株」という棲み分けがありました。取引時間が重ならないからこそ、両方に目を向けられたわけです。
12月からは、この棲み分けが消えます。日本の日中という限られた時間の中で、日本株と米国株が投資家の資金と注意を直接奪い合うことになります。
ただでさえ新NISAが始まって以降、個人の資金はS&P500やオルカンなど米国中心のファンドに強く傾いています。そこに「日中でも米国株の個別株がリアルタイムで買える」という選択肢が加わる。東京市場にとっては、個人マネーをつなぎ留める競争が一段と厳しくなる、と見るのが自然だと思います。
影響②: 日本株と米国株の連動が「リアルタイム化」する
前回の記事で、いまの東京市場は売買の約7割を海外投資家が占めているという話をしました。日本株が米国市場の動向に強く影響されるのは今に始まったことではありません。
ただ、これまで日本の日中に参照できる「米国」は、主に株価指数の先物でした。それが12月以降は、米国株の現物価格そのものが日本の取引時間中に動くようになります。
米国発のニュースが出れば、米国株の現物が即座に反応し、それを見た投資家が日本株を売買する。「朝の寄り付きで前夜の米国市場分のギャップが開く」という従来のパターンから、「ザラ場中にリアルタイムで連動する」方向へ、市場の反応速度が一段上がる可能性があります。
良くも悪くも、世界の市場が「ひとつながり」になっていくということです。
影響③: 東京市場も対抗を迫られる
取引時間の延長は、実は東京証券取引所も先に動いています。2024年11月、東証は約70年ぶりに立会時間を30分延長し、15時30分までとしました。
それでも1日5時間半。23時間市場となる米国と比べると、その差は歴然です。「日本市場の魅力をどう保つか」という議論は、今後さらに熱を帯びるでしょう。夜間取引の拡充や、さらなる時間延長の話が再燃するかもしれません。
前回の記事で見たとおり、東証の売買代金は2026年、1日平均10兆円を超えてバブル期の約8倍という活況です。市場の熱量そのものは歴史的な高水準にある。この熱をどう維持するかが、東京市場の次の課題になりそうです。
「いつでも取引できる」の落とし穴
ここまで市場への影響を見てきましたが、個人投資家として気をつけたい点にも触れておきます。
新設されるオーバーナイトセッションは、参加者が少なく流動性が薄い時間帯です。板が薄いと、売り値と買い値の差(スプレッド)が広がりやすく、成行注文を出すと想定外の価格で約定するおそれがあります。この時間帯に取引するなら指値注文が基本、と覚えておいてください。
そしてもうひとつ。「いつでも取引できる」は、裏を返せば「いつでも余計な売買ができてしまう」ということでもあります。
日中に米国株の値動きが見えるようになると、仕事の合間にチャートを開いて、つい何かしたくなる。下がっていれば不安になり、上がっていれば乗り遅れまいと焦る。取引時間の拡大は、こうした「市場に振り回される機会」の拡大でもあります。
長期投資家には、実はあまり関係がない
で、結局私たちはどう構えればいいのか。
正直に言うと、私はこの変化を「長期投資家にはあまり関係のない話」だと受け止めています。
インデックスの積立は取引時間が何時間だろうと自動で淡々と進みます。高配当株は日本市場で普通に買えます。オーバーナイトセッションの薄い板で急いで何かを売買しなければならない場面は、長期投資をしている限り、まず訪れません。
取引時間が16時間から23時間になって恩恵を受けるのは、主に短期売買をする人と、その手数料で潤う証券会社です。私たちのような長期投資家にとっては「へえ、便利になったね」以上でも以下でもない。むしろ、上に書いたとおり市場に張り付く誘惑が増える分、意識して距離を取る価値が上がるとすら思っています。
ただし、市場の観察材料としてはとても面白い変化です。日本の日中に米国株マネーが動くようになったとき、東証の売買代金——市場の体温——はどう変わるのか。前回の記事で見た「1日10兆円時代」の熱量は保たれるのか。1年後、2年後の統計を見るのが今から楽しみです。
まとめ
- 2026年12月6日(日本時間12月7日)から、米国株にオーバーナイトセッションが新設され、1日23時間取引に
- 日本時間の日中(冬時間で11時〜18時ごろ)に米国株がリアルタイムで売買可能になる
- 日本株への影響は「個人マネーの競合」「連動のリアルタイム化」「東証への時間延長圧力」の3つの筋
- 深夜帯セッションは流動性が薄く、取引するなら指値が基本
- 長期投資家のやることは変わらない。積立は自動で、保有株はどっしり。市場の体温変化は観察して楽しむ
眠らない市場の時代でも、投資家まで眠らずに市場を見つめる必要はありません。むしろ、ぐっすり眠れる投資を続けることが、いちばんの武器だと思っています。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
※本記事は特定の銘柄や取引の推奨を目的としたものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
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