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40代会社員のちゃぴっとです。
配当の話をするとき、「利回り4%」という言い方をよく使います。ただ、その4%が 「今の株価に対して4%」 なのか、「自分が払った金額に対して4%」 なのかで、意味はまったく違います。
高配当株とは何かでは、利回りに2つの見方があることを表で簡単に触れただけでした。今回はその2つを、計算例を使って整理しておきます。
この記事は利回りの計算の話で、特定の銘柄をすすめるものではありません。使っている数字はすべて 説明用の架空の数字 です。
2つの利回りは、分母が違うだけ
配当利回りは、日本取引所グループの用語集では「株式利回り」として、ある時点で株式に投資した資金と、それが1年間に生むと期待される配当金との比率 と説明されています。
ポイントは「投資した資金」を何と置くか。ここで2つに分かれます。
| 呼び方 | 分母 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 配当利回り(現在株価基準) | 今の株価 | これから買う場合の比較 |
| 取得利回り(取得額基準) | 自分の取得単価 | すでに持っている株の受取額の把握 |
取得利回りは「買値ベース利回り」「取得単価ベースの利回り」、英語の頭文字で YOC(Yield on Cost) とも呼ばれます。呼び方は違っても、分母に自分の取得単価を置いた利回りという点は同じです。
配当利回り(%)= 1株当たりの年間配当 ÷ 現在の株価 × 100
取得利回り(%)= 1株当たりの年間配当 ÷ 1株当たりの取得単価 × 100
分子はどちらも同じ「1株当たりの年間配当」です。違うのは分母だけです。
計算の前提は「年間」「税引前」
どちらの利回りも、前提を揃えないと比較できません。確認したいのは次の4点です。
① 年間の配当で計算する
中間配当と期末配当がある会社なら、その合計。年1回の会社もあります。中間配当だけ、期末配当だけの金額で計算すると、利回りは小さく出ます。
② 税引前の金額で計算する
一般に使われている利回りは、税金を引く前の配当額で計算されたものです。上場株式の配当は、課税口座では原則として源泉徴収されます(国税庁「配当金を受け取ったとき」)。その場合、実際に入金された手取りで計算すると利回りはその分低く出ます。非課税の口座で受け取る場合など、前提が違えば手取りの額も変わります。税引前か手取りかを揃えないと、数字がずれるということです。
③ 予想か実績かを区別する
「1株当たりの年間配当」には、会社が出している 予想配当 と、すでに支払われた 実績 があります。どちらを使うかで利回りは変わります。記念配当や特別配当が含まれている年の実績を使うと、翌年も同じ額が出るとはかぎりません。
④ 取得単価は平均で決まる
何回かに分けて買っていれば、分母は平均取得単価です。買い増しによって平均取得単価が変わる場合は、取得利回りの分母も変わります。手数料を分母に含めるかどうかでも、数字はわずかに変わります。
架空の例で、2つの数字を並べる
ここからは 架空の銘柄A で計算します。実在の銘柄ではなく、株価も配当も説明のために置いた仮の数字です。
前提も次のように固定します。
- 配当は 1株当たりの予想年間配当(会社予想ベース)を使う
- 金額はすべて 税引前
- 売買手数料は考えない
- 買ったあとの 追加の買付・売却はしない(株数100株・取得単価2,000円のまま)
以降の3つの場面は、この前提をそろえたまま、配当と株価だけを動かしています。
買ったとき
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 取得単価 | 2,000円 |
| 株数 | 100株 |
| 取得額 | 200,000円 |
| 1株当たりの予想年間配当 | 80円 |
- 配当利回り:80 ÷ 2,000 × 100 = 4.0%
- 取得利回り:80 ÷ 2,000 × 100 = 4.0%
- 年間の配当(税引前):80円 × 100株 = 8,000円
買った瞬間は、株価=取得単価なので 2つの利回りは一致します。分かれていくのは、ここから株価と配当が動いたあとです。
増配して、株価も上がった場合
1株当たりの予想年間配当が100円に増え、株価が2,500円になったとします。
- 配当利回り:100 ÷ 2,500 × 100 = 4.0%
- 取得利回り:100 ÷ 2,000 × 100 = 5.0%
- 年間の配当(税引前):100円 × 100株 = 10,000円
今から買う人の利回りは4.0%ですが、2,000円で買った分の利回りは5.0%。同じ100円の配当でも、分母が違うので数字が変わります。
減配して、株価も下がった場合
逆に、1株当たりの予想年間配当が60円に減り、株価が1,500円になった場合。
- 配当利回り:60 ÷ 1,500 × 100 = 4.0%
- 取得利回り:60 ÷ 2,000 × 100 = 3.0%
- 年間の配当(税引前):60円 × 100株 = 6,000円
3つの場面を並べる
| 場面 | 予想年間配当(1株) | 株価 | 配当利回り | 取得利回り | 年間配当(税引前) |
|---|---|---|---|---|---|
| 買ったとき | 80円 | 2,000円 | 4.0% | 4.0% | 8,000円 |
| 増配・株価上昇 | 100円 | 2,500円 | 4.0% | 5.0% | 10,000円 |
| 減配・株価下落 | 60円 | 1,500円 | 4.0% | 3.0% | 6,000円 |
この例では、現在株価基準の配当利回りは3つとも4.0% です。株価と配当が同じ方向に動くと、株価基準の利回りは変わらないことがあります。
一方で取得利回りは、分母が2,000円に固定されているため、配当が増えれば上がり、減れば下がる。4.0% → 5.0% → 3.0% と動いています。
増配でも減配でも、取得利回りは動く
取得利回りは「増配で育っていく利回り」として語られることが多い数字です。実際、受け取る配当が増えれば、取得額に対する比率は上がります。
ただし、同じ理屈で 減配すれば下がります。上の例では3.0%まで落ちました。無配になれば、取得利回りも0%です。
もうひとつ押さえておきたいのは、取得単価と株数が変わらない前提では、取得利回りを動かすのは会社の配当だけだ ということ。分母は買った時点で決まっていて、自分では動かせません。買値が安ければ分母は小さくなりますが、そこから利回りが上がるか下がるかは、会社が配当をどうするかで決まります。
そして配当予想は、会社の予想です。東京証券取引所の上場会社向けの案内でも、配当予想が未定の場合や、予想を修正する場合を想定した開示の案内が出ています。つまり 前提の数字自体が期中に変わりうる ということです。
含み益が減った月、配当投資をどう続けるかでも書きましたが、すでに入金された配当は実績でも、これから受け取る配当は確定していません。予想配当を分子に使って計算した取得利回りは、確定した数字ではない ということです。すでに受け取った実績配当で計算すれば、それは過去に確定した受取額に対する利回りになります。どちらを分子に置いたのかで、数字の意味が変わります。
取得利回りだけで、買うか持ち続けるかは決められない
取得利回りは、過去の自分の買値で分母が決まっている数字 です。便利なのは、自分の投じた金額に対していくら受け取れているかが一目でわかること。逆に言えば、今の会社の状態については何も教えてくれません。
新規に買うときの比較には使えない
これから買う株の分母は、自分の取得単価ではなく 今の株価 です。誰かの取得利回りが5%だったとしても、今から同じ株を買う人の利回りは現在株価基準の数字になります。他人の取得利回りは、自分がこれから買うときの比較には使えません。
そして現在株価基準の利回りも、それだけで選ぶと危ない数字です。配当利回りランキングでも書いたとおり、株価が下がったことで利回りが高く見えている銘柄が、上位に並ぶことがあります。
持ち続けるかを考えるときも、見る場所は変わらない
「取得利回りが高いから持っている」という理由は、配当がこれからも続く前提 に乗っています。その前提が崩れれば、取得利回りの数字も一緒に下がります。
だから見る場所は、利回りの高さではなく配当の出どころです。決算書で私が見ている3つのポイントに書いたとおり、売上と利益の推移、そして過去に減配・無配がないかを確認する。配当は利益から出るものなので、利益が続いているかどうかが前提になります。
それに、持ち続けるかどうかを考える場面では、いま同じ資金をその株に置いておくかという問い にもなります。そのときに比べる数字は取得利回りではなく、現在の株価に対する配当利回りや、ほかの投資先と比べてどうかという視点です。
取得利回りが高いことは、減配や業績悪化のリスクを打ち消してくれるわけではありません。2つの利回りは、どちらも現状を把握するための数字 で、それ単体で売買の答えを出す数字ではないと考えています。
まとめ
| 論点 | 整理 |
|---|---|
| 違いは分母だけ | 配当利回りは今の株価、取得利回りは自分の取得単価が分母 |
| 買った直後 | 株価=取得単価なので2つは一致する |
| 計算の前提 | 年間の配当・税引前で計算する(課税口座では原則として源泉徴収される)。予想と実績、平均取得単価の違いも揃える |
| 増配したとき | 取得利回りは上がる(例:4.0% → 5.0%) |
| 減配したとき | 取得利回りも下がる(例:4.0% → 3.0%)。無配なら0% |
| 新規購入の判断 | 分母が今の株価になるため、取得利回りは比較に使えない |
| 保有継続の判断 | 取得利回りの高さではなく、業績と配当の持続性を見る。現在の株価に対する利回りやほかの投資先との比較も必要 |
同じ「利回り4%」でも、分母が今の株価なのか自分の取得額なのかで、見ている内容は別物です。取得利回りは自分の記録として便利な数字ですが、それが高いこと自体が、これからの配当を保証してくれるわけではありません。
受け取る配当の総額から逆算する考え方は、年100万円の配当金をもらうには、いくら投資が必要かにも書いています。あわせてどうぞ。
※当ブログは特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
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出典・基準日
・本記事の銘柄A、および株価・配当・利回りの数字はすべて 説明用の架空の数値 です。実在の銘柄・実際の保有状況とは関係ありません
・計算例の前提:1株当たりの予想年間配当(会社予想ベース)・税引前・売買手数料なし・買付後の追加売買なし(100株/取得単価2,000円で固定)
・配当利回り(株式利回り)の定義:日本取引所グループ 用語集「株式利回り」 https://www.jpx.co.jp/glossary/ka/85.html (2026年10月8日閲覧)
・配当予想の修正・未定を想定した開示の案内がある点:日本取引所グループ 上場会社向けナビゲーションシステム「【配当予想の修正】」 https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge8484.html (2026年10月8日閲覧)。同ページは上場会社向けに開示の検討を案内するもので、本記事では「配当予想は期中に変わりうる」という趣旨の根拠としてのみ参照しています
・上場株式の配当が源泉徴収される点:国税庁 タックスアンサー No.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1330.htm (2026年10月8日閲覧)
※税率や確定申告の選択肢については本記事では扱っていません
※配当は将来にわたって約束されたものではなく、減配・無配となる可能性があります
※本記事は個人の投資記録および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断は、必ずご自身の責任と判断で行ってください。
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