配当をもらっていても損になる? 高配当株の成果を配当と株価で確認しよう

配当をもらっていても損になる? 高配当株の成果を配当と株価で確認。深緑の文字と植物のイラスト。 株の学び場

こんにちは、ちゃぴっとです。

配当金が振り込まれる一方で、保有株の価格が下がっている。そんなとき、「配当を受け取れたから順調」と考えてよいのでしょうか。

配当が入ったことは、投資から収入を得られたという大切な記録です。ただ、投資全体でどれくらい増えたか、減ったかを知るには、株の値動きも一緒に見る必要があります。

今回は高配当株の長期保有を考えるうえで、受け取った配当と株価の変化を合わせて確認する方法を整理します。実際の保有銘柄や実績ではなく、架空の数字で見ていきます。

1.「入ってきた配当」と「株の今の価値」を並べる

株式投資で得られる利益には、配当などの「インカムゲイン」と、株の値上がりによる「キャピタルゲイン」があります。名前は難しそうですが、まずは「受け取るお金」と「株の価格の変化」と捉えると分かりやすくなります。(出典1)

買った株をまだ持っている場合、値上がりや値下がりによる損益は「含み益・含み損」です。売却して確定した利益や損失ではなく、その時点の株価で評価した数字です。

最初に一度だけ買い、その後は売買せず、配当も再投資していないなら、次のように確認できます。

配当を含めた損益 = 今の株の評価額 − 買った金額 + 受け取った配当の合計

「今の株の評価額−買った金額」が含み損益です。そこに同じ保有期間の配当を足すことで、価格の変化と配当を合わせた成果が分かります。こうして収入と値動きの両方を含めて見る考え方を、トータルリターンといいます。

ここでは税金・手数料・株主優待を含めず、配当は税引前で計算します。配当の予想額ではなく、すでに受け取った実績を使います。

2.配当が同じ1万円でも、全体の結果は違う

次の条件で、1年間保有したとします。すべて説明用の架空例です。

  • 1株2,000円で100株を購入。買った金額は20万円
  • 1年間に受け取った配当は、税引前で1株100円、合計1万円
  • 追加購入・売却・配当再投資・株式分割はない
  • 税金、手数料、株主優待は計算に入れない

1年後の株価が違う3つのケースを並べると、こうなります。

1年後の株価株の評価額含み損益受取配当配当を含めた損益購入額に対する損益率
2,400円24万円+4万円1万円+5万円+25%
2,000円20万円0円1万円+1万円+5%
1,600円16万円−4万円1万円−3万円−15%

※損益率は「配当を含めた損益÷購入額20万円×100」で計算しています。

どのケースも、購入額に対する受取配当の割合は「1万円÷20万円=5%」です。それでも、株価が1,600円になったケースでは、配当を含めても3万円のマイナスです。

配当1万円がなくなったわけではありません。ただ、株の評価額が4万円減ったため、受け取った配当だけでは補えていない、ということです。

配当利回りは、投資金額に対して年間の配当がどれくらいかを見る指標です。株価の上げ下げまで含めた収益率とは違います。「利回り5%の株を買えば、資産全体も毎年5%増える」とは限りません。(出典2)

3.長く持つなら、同じ期間の配当を足す

長期保有では、これまでに受け取った配当が積み重なります。そこで必要になるのが、損益を見る期間をそろえることです。

例えば、先ほどの株を3年間持ち、受け取った配当が税引前で合計3万円、3年後の株の評価額が16万円だったとします。追加売買や再投資などがない前提は同じです。

16万円−20万円+3万円=−1万円

配当を含めた3年間の損益は、1万円のマイナスです。購入額20万円に対しては−5%ですが、これは3年間全体の割合であり、1年当たりの数字ではありません。

また、「買ってから今までの含み損益」に「今年だけの配当」を足すと、購入以来の成果を正しく表せません。購入以来を調べるなら購入後の累計配当を、今年の成果を調べるなら年初からの値動きと今年の配当を使います。途中で売買した場合は、その記録も必要です。

過去の配当が積み上がっていても、将来の配当額や株価の回復は保証されません。長く持てば自動的に損失が消えるわけではない点は、分けて考えておきたいところです。(出典3/出典4)

4.税引前の比較と、手取りの記録を分ける

ここまでの例は、すべて税引前です。課税口座で受け取る国内上場株式の配当では、通常、支払い時に税金が差し引かれます。そのため、配当のお知らせにある税引前の金額と、実際の入金額が異なることがあります。(出典5)

商品の成果を税引前で比べるなら、配当も税引前にそろえます。家計にいくら入ったかを知りたいなら、手取りの入金額を記録します。二つの目的で数字を使い分けると、混乱しにくくなります。

手取り配当と含み損益を合わせる場合は、「配当は税引後、株の損益は売却前」と明記しておきましょう。含み益には、将来売却したときの税金や手数料を織り込んでいないことがあります。その合計を、そのまま「全部売ったあとの手取り」とは呼べません。

銘柄同士を比較するときも、保有期間、配当の税引前後、手数料の扱いをそろえることが先です。

5.配当を再投資したら、二重に足さない

もう一つ気をつけたいのが、受け取った配当で株を買い増した場合です。

最初に入れた20万円で買った株が、その後1万円の配当を出し、その1万円をすべて再投資したとします。株の価格は変わらず、現在の株式評価額が合計21万円になった、という架空例です。税金や費用は考えません。

この場合、最初の20万円に対する増加額は1万円です。再投資した分が今の評価額21万円に含まれているので、「21万円−20万円」に配当1万円をもう一度足すと、同じお金を二重に数えてしまいます。

配当を再投資する口座全体を見る場合は、お金の出入りも記録すると整理できます。残高ゼロの状態から記録し、現金と株式だけを持ち、借入れや株式の移管などがない単純な口座なら、次の形で増減を確認できます。

口座全体の損益 = 現在の株式評価額と現金残高の合計 + 口座の外へ出した金額 − 口座の外から入れた金額

外への出金は生活費などの引き出し、外からの入金は自分で追加した資金を、記録開始から累計します。税金や手数料の支払いを、ここでいう出金に足し戻すことはしません。口座内で受け取った配当や、その配当による買い増しも、外から入れたお金には含めません。上の例なら「21万円+0円−20万円=1万円」です。

この方法でも、税金・費用の扱いを記録し、未売却の含み損益を含むことを忘れないようにします。入出金の多い口座で正確な年率を求めるには時期も関係するため、ここでは金額の増減を確認するところまでにとどめます。

配当の記録に、評価額と確認日を添えてみる

最初から複雑な管理表を作る必要はありません。まずは一つの銘柄について、次の数字を同じ確認日で並べてみると整理できます。

  • いつ、いくらで買ったか
  • 今の保有株数と評価額はいくらか
  • 購入してから受け取った配当はいくらか
  • 途中の売買や再投資があるか
  • 配当は税引前か手取りか、費用を含めているか

配当を生活に使うことと、投資全体の成果を確かめることは両立できます。配当の入金を大切にしながら、保有株の価値も一緒に見ておく、ということです。

そして、過去の損益を確認することと、これから持ち続けるかを判断することは別の作業です。利益が出ていても将来の配当が確約されるわけではなく、含み損だから直ちに売るべきとも決まりません。

今後の業績や配当方針は、会社のIRページにある決算短信や配当予想の修正などで確認できます。配当予想は途中で変わることがあり、東証も予想の修正や無配決定について開示のルールを設けています。配当が減る「減配」や、配当がなくなる「無配」の可能性も踏まえて、保有する理由を見直す材料にしたいですね。(出典6)

出典

  1. 日本取引所グループ「インカムゲイン」
  2. 日本取引所グループ「株式利回り」
  3. 米国証券取引委員会(SEC)Investor.gov「Stocks – FAQs」
  4. 金融庁「資産形成の基本」
  5. 国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
  6. 日本取引所グループ「配当予想、配当予想の修正」

※2026年10月28日(日本時間)に確認した公表資料に基づく一般的な解説です。銘柄・株価・配当・損益の計算例は架空であり、筆者の実績や将来の予測ではありません。

※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任と判断で行ってください。

ちゃぴっと

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