40代会社員のちゃぴっとです。
高配当株分析シリーズ、1銘柄ディープ分析の第11弾は 神戸製鋼所(5406) です。先日のPBR1倍割れ×高配当株ランキングで、採点20点満点中19点の堂々1位に入った銘柄です。
利回り4%・PBR0.62倍・PER7倍台と、数字だけ見れば圧巻の割安さ。ただ、このシリーズでこれまで分析してきた全国保証やヒューリックのような「質で選ぶ」銘柄とは、まったく別のタイプです。何が違うのか——5指標で正直に見ていきます。
私の基本スタンスは変わらず 「長期保有を前提に高配当株を見る」 こと。今回は特に、「安さの理由」 を掘り下げます。
神戸製鋼所(5406)ってどんな会社?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社神戸製鋼所(5406) |
| 事業 | 鉄鋼・アルミ・機械・電力の複合企業 |
| 市場 | 東証プライム |
| 株価 | 1,984.5円(2026年7月24日終値) |
| 決算期 | 3月(次回決算発表:2026年8月5日) |
| 予想配当利回り | 約4.0% |
神戸製鋼所は、鉄鋼を軸に、アルミ・銅、機械、電力事業まで手がける総合素材メーカー。「コベルコ」のブランドで知られています。近年は電力事業(発電)が安定した収益源として育ち、鉄鋼一本足ではなくなってきているのが特徴です。
ただ、屋台骨はやはり 鉄鋼。鉄鋼は、鉄鉱石や石炭といった原料価格、鉄鋼製品の市況、為替に、利益が大きく左右される「市況産業(シクリカル)」 の代表格です。ここが、今日の話のすべてに関わってきます。
5指標で分析する
① 配当利回り:約4.0%(〇)※ただし業績連動
2027年3月期の予想配当80円、株価1,984.5円(7/24終値)で計算すると、
80 ÷ 1,984.5 × 100 = 約4.0%
東証プライム平均(約2.35%)を大きく上回る水準です。ただし後述しますが、この配当は業績に連動して上下します。「4%が毎年続く」前提では見ない方がよい利回りです。
② 配当性向:約32%(◎)
2027年3月期予想の配当性向は 約32%(予想配当80円 ÷ 予想EPS約252円)。
目安の「50%以下」を余裕でクリアしています。ただ、この性向が低めなのには理由があります。市況産業は好況時に無理な高配当を出すと、不況時に維持できなくなる。だから、あえて性向を抑えて「業績が落ちても対応できる幅」を残している とも読めます。健全さの表れですが、裏を返せば「利益が減れば配当も減らす」前提の水準です。
③ 連続増配年数:連続増配では「ない」(✗)
ここが最大のポイントです。神戸製鋼所は連続増配銘柄ではありません。
過去の配当推移を見ると、それがはっきりわかります。
| 期 | 1株配当 | 動き |
|---|---|---|
| 2020年3月期 | 0円 | 無配 |
| 2021年3月期 | 10円 | 復配 |
| 2022年3月期 | 40円 | 増配 |
| 2023年3月期 | 40円 | 横ばい |
| 2024年3月期 | 90円 | 増配 |
| 2025年3月期 | 100円 | 増配(ピーク) |
| 2026年3月期 | 80円 | ⚠️減配 |
2020年3月期には無配(配当ゼロ)になり、直近の2026年3月期も 100円→80円へ減配 しています。会社の配当方針も「継続的・安定的な配当を基本としつつ、業績の動向等を総合的に考慮して決定」(性向30〜37%目安)であり、「毎年増配する」とは一言も言っていません。
これまで分析してきた全国保証(14期連続増配)やヒューリック(13期連続増配)とは、株主還元の設計思想が根本的に違う 銘柄です。
④ 業績の安定性:市況で大きく振れる(△)
- 2026年3月期(実績):売上高2兆4,366億円(前期比▲4.6%)・営業利益1,299億円(▲18.2%)・純利益937億円と 減益
- 2027年3月期(予想):売上高2兆5,600億円・営業利益1,500億円(+15.5%)・純利益1,000億円(+6.7%)と、素材事業の回復で増益を計画
直近の2026年3月期は減益でした。そして2027年3月期は回復を見込んでいますが、これはあくまで会社予想。鉄鋼市況・原料価格・為替次第で、上にも下にも振れます。利益が振れれば、③で見たとおり配当も振れる——これがこの銘柄の本質です。
なお、次回の決算発表は2026年8月5日。回復シナリオが順調かどうかは、ここで確認したいところです。
⑤ PER/PBR:圧巻の割安、でも「理由がある」(◎/◎)
- PER 約7.85倍(会社予想)→ 目安「15倍以下」を大きく下回る(◎)
- PBR 0.62倍(実績)→ 1倍を大きく割れており、資産面では極めて割安(◎)
数字だけ見れば、シリーズでもトップクラスの割安さです。PBR0.62倍は「会社が持つ純資産の6割の値段で株が買える」状態。
ただし、この安さには理由があります。市場が神戸製鋼所に低いPBRしかつけないのは、「いまの利益が続くとは思っていない」から。市況が反転すれば利益は減り、減配や(最悪の場合)無配もありうる——その不安を織り込んだ結果が、PBR0.62倍という数字なのです。「割安だから安全」ではなく、「割安なのには市況リスクという理由がある」 と理解するのが正しい見方です。
質タイプ(全国保証・ヒューリック)との比較
シリーズで分析してきた「質で選ぶ」銘柄と並べると、神戸製鋼所がどういうタイプかがはっきりします。
| 指標 | 全国保証(7164) | ヒューリック(3003) | 神戸製鋼所(5406) |
|---|---|---|---|
| 配当利回り | 約4.0% | 約3.8% | 約4.0% |
| 連続増配 | 14期 | 13期 | なし(無配・減配歴あり) |
| 業績 | 15期連続最高益 | 15期連続最高益 | 市況で変動(直近減益) |
| PER | 約12.4倍 | 約11.1倍 | 約7.85倍 |
| PBR | 1.66倍 | 1.48倍 | 0.62倍 |
| タイプ | 質で選ぶ(割安ではない) | 質で選ぶ(割安ではない) | 割安で選ぶ(市況リスク) |
全国保証やヒューリックは、「利益を伸ばし続ける会社を、割安ではない株価で持つ」タイプ。神戸製鋼所は真逆で、「利益が振れる会社を、圧倒的に割安な株価で持つ」タイプです。
どちらが良い悪いではなく、”買う理由”と”必要な覚悟”がまったく違う。神戸製鋼所を買うなら、「安いから安心」ではなく「市況が回復する(少なくとも大崩れしない)と考えるから」という理由が要ります。
注意点:連続増配ではない・市況次第・減益局面
神戸製鋼所の注意点は3つです。
① 連続増配ではなく、配当は業績連動
これまで見たとおり、無配・減配の実績があります。「高配当株だから安定した配当が続く」という前提は通用しません。配当目当てなら、業績が落ちれば配当も落ちる覚悟が要ります。
② 鉄鋼市況・原料価格・為替に左右される
利益の振れ幅が大きいため、好況時の利益を「基準」にすると判断を誤ります。今は回復を見込む局面ですが、世界景気や中国の鉄鋼需給次第で、シナリオは簡単に変わります。
③ 直近は減益、回復は「予想」
2026年3月期は営業利益▲18%の減益でした。2027年3月期の回復はあくまで会社計画で、8月5日の決算で進捗を確認する必要があります。
⚠️ PBR0.62倍・PER7倍台という安さは本物ですが、それは 「市況が悪化すれば利益も配当も減る」というリスクの裏返し。割安さと市況リスクは、必ずセットで理解してください。
総合評価
| 指標 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| ① 配当利回り | 〇 | 約4.0%。ただし業績連動で変動する |
| ② 配当性向 | ◎ | 約32%。あえて低めに抑え、変動に備えている |
| ③ 連続増配 | ✗ | 連続増配ではない。無配・減配の実績あり |
| ④ 業績 | △ | 市況で大きく振れる。直近は減益、2027年は回復予想 |
| ⑤ PER/PBR | ◎/◎ | PER7.85倍・PBR0.62倍と圧巻の割安。ただし理由あり |
利回り・割安さ・性向の健全さは文句なし。しかし ③連続増配が完全に✗、④業績も市況次第 という、これまでの銘柄にはなかった弱点があります。
「割安な株を、市況の回復に賭けて買う」なら候補になりますが、「毎年安定した配当を受け取りたい」なら不向き。同じ「利回り4%」でも、全国保証やヒューリックとは求められる姿勢がまるで違う——それが神戸製鋼所です。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業 | 鉄鋼・アルミ・機械・電力の複合企業(市況産業) |
| 配当利回り | 約4.0%(2027年3月期予想80円ベース・業績連動) |
| 配当性向 | 約32%(あえて低めで変動に備える) |
| 連続増配 | なし(2020年3月期は無配、直近も減配) |
| 業績 | 市況で変動。2026年3月期は減益、2027年は回復予想 |
| 割安度 | PER約7.85倍・PBR0.62倍と圧巻。ただし市況リスクの裏返し |
| 注意点 | 連続増配ではない・市況次第・回復は”予想” |
神戸製鋼所(5406)は、「利回り4% × PBR0.62倍 × PER7倍台」 という圧倒的な割安さと、「連続増配ではなく、配当は業績連動」 という市況リスクが同居する銘柄でした。
高配当株というと「安定した配当」をイメージしがちですが、神戸製鋼所は “安定”ではなく”割安と市況”で選ぶ高配当株。利回りの数字や割安さだけでなく、「その配当は業績が落ちても続くのか」まで見る——5指標で分解すると、その大切さがよくわかります。次回も、高配当株を1銘柄ずつ冷静に分析していきます。
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データ出典・基準日
・株価・予想PER・実績PBR・予想配当利回り・1株配当(会社予想):Yahoo!ファイナンス(2026年7月24日終値時点)
・配当性向:予想配当80円 ÷ 予想EPS(株価÷予想PER)で算出
・配当推移・配当方針:神戸製鋼所 IR/IRBANK(性向30〜37%目安・安定配当を基本としつつ業績等を総合考慮)
・業績(2026年3月期実績・2027年3月期予想):会社決算短信・会社予想ベース
※株価・配当利回りは日々変動します。実際の投資判断時には最新の数値をご確認ください。
※本記事は個人の投資記録および情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断は、必ずご自身の責任と判断で行ってください。
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