【書評①】「いちばんやさしい会計の教本」を読んだ — 同業他社と並べる視点を学べた1冊

自己投資

書評シリーズはじめます。第1回はこの一冊から

40代会社員のちゃぴっとです。

このブログでは普段、高配当株とインデックス投資の話を書いています。投資の話に偏りがちですが、ここから 「読んでよかった本を1冊ずつ紹介する書評シリーズ」 を始めることにしました。

第1回は、最近じっくり読んだこの本です。

「いちばんやさしい会計の教本 — 人気講師が教える財務3表の読み解き方が全部わかる本」
著者:川口宏之/出版社:インプレス/2018年11月発売/本体1,600円+税

タイトルどおりの 会計入門書 ですが、ただの初心者本ではありません。「決算書を見る視点が変わる」 一冊でした。私が読んでよかったポイントを、率直に書いていきます。

なぜこの本を手に取ったか

私は 簿記3級 を持っていて、現在は 簿記2級 を勉強中です。簿記の勉強で「仕訳」や「貸借対照表のしくみ」はある程度入っていたのですが、

「決算書を1枚見て、その会社が良いか悪いかをサッと判断する」

という実戦の感覚は、別の本でもう一段深掘りしたいと思っていました。

書店やオンラインで何冊か候補を比較した中で、この本を選んだ理由は2つ。

  1. レビューの評価が良かった
  2. 私が知りたい「財務3表のつなげ方」「業種別の見方」がしっかり載っていた

「いちばんやさしい」というタイトルから入門レベルだけかと思いきや、章が進むにつれてしっかり実戦寄りの分析手法 まで踏み込んでくれます。

本の中身をざっくり

全9章構成で、流れはこうなっています。

テーマ
1会計はビジネスに必須のスキル
2財務諸表の全体像を知ろう
3貸借対照表で会社の安全性を知る
4損益計算書から会社の収益力を読み解く
5キャッシュフロー計算書で会社のお金の動きをつかむ
6財務3表をつなげて読み解く
7財務3表を組み合わせた分析指標
8ビジネスに欠かせない取引先分析の手法
9会計スキルを磨く情報収集術

入門書らしく 3〜5章でB/S・P/L・CFを1つずつ丁寧に やったあと、6章でつなげる7章で分析指標8章で実戦応用 という流れ。

「単体の表の読み方」だけで終わらず、3表をつなげて、1社をまるごと評価できる視点 にまで連れて行ってくれるのが、この本のいちばんの良さだと思いました。

いちばん響いたポイント:数字は同業他社と並べて初めて意味を持つ

この本を読んでいちばん「収穫だった」と思ったのは、

同じ「自己資本比率」「営業利益率」「ROE」でも、その数字単体では良し悪しは判断できない。同業他社と並べて初めて意味が見える

という、当たり前だけど自分の中で曖昧だった視点が はっきり言語化された ことです。

背景として本書から学んだのは、業種によって財務の特性がまったく違う という当たり前の事実でした。読みながら自分の中で初めて整理できたのは、こんな感覚です。

  • 小売業 は、在庫回転が速いから、自己資本比率が低めでもそれほど問題にならないことがある
  • メーカー は、設備投資が重く在庫も多いぶん、自己資本比率の厚さが安全性の鍵になる
  • 金融・商社 は、そもそも借り入れで回すビジネスモデルなので、他業種の物差しは通用しない
  • IT・ソフトウェア は、在庫がほぼない分、業界全体の営業利益率がぐっと高いゾーンにある

それまでの自分は、決算書を見るときに 「自己資本比率が低い=危ない」「営業利益率は高ければ高いほど良い」 と一律で考えていて、業種の違いをほとんど意識していませんでした。本書を読み進めて、この単純なモノサシだけでは足りなかった と、はっきり気づかされた感覚があります。

本書では、実際の決算書サンプルを使いながら、「同業他社と並べて初めて意味が見える」 という視点が、章をまたいで何度も出てきます。読み終えたときに残ったのは、「同業比較を経由しないと、自分はその数字の良し悪しを判断できない」 という素直な実感でした。

自分の決算書を見る視点がどう変わったか

この本を読んだあと、保有銘柄の決算書を見直してみたのですが、いくつか 見方そのものが変わった ところがありました。

1. 「同業他社と比べる」がクセになった

以前は 会社単体 で「この自己資本比率は高い/低い」と判断しがちでした。今は、

  • 三菱UFJFG を見るときは → みずほFG・三井住友FG と並べる
  • 三井倉庫HD を見るときは → 倉庫業の同業他社 と並べる
  • JX金属 を見るときは → 非鉄金属セクター の他社と並べる

という 横比較がクセ になりました。業種平均とどれくらいズレているか が、同じ数字でも意味が変わって見えます。

2. キャッシュフローを利益と並べて見るようになった

以前は 損益計算書(P/L)の利益 ばかり気にしていたのですが、

「利益が出ていてもキャッシュが回っていない会社は危ない」

という当たり前のことを、改めて自分の中で整理できました。営業活動によるキャッシュフローが 継続的にプラスかどうか は、配当銘柄を長期保有する上で本当に大事です。

3. 「在庫の質」を見るようになった

商社や小売を見るときに、B/Sの「棚卸資産」の動き を以前よりちゃんとチェックするようになりました。本書を読んで、売上が伸びているのに在庫が異常に増えているケースは、その後の業績悪化の前兆になりがち と知ったのが、視点を変えるきっかけでした。

どんな人と相性がいい本だと感じたか

ここは自分の感覚で正直に書きます。この本を、会計をまったく学んだことのない段階で最初に手に取るのは、少し背伸びかもしれない というのが、読み終えての率直な感想です。

自分が読んでみて、相性が良さそうだと感じたのは こんな人です。

  • 簿記3級を学習済み(または並行で勉強中)の人
  • 仕訳や勘定科目の意味は なんとなく分かっている
  • でも、決算書を見ても 何を見ればいいかが分からない
  • 株を買うときに、決算書をもう一段ちゃんと読みたい

自分自身、もし簿記の前提知識がゼロで読んでいたら、6章以降の「つなげて読む」「分析指標」あたりで置いていかれていた気がします。

自分の場合は、簿記3級 を先に学習してから本書を読みました。その順番でやってみて、本書の「財務3表をつなげる」がすっと頭に入った感覚があります。逆だったら用語につまずいていたかもしれない、というのが正直なところです。

まとめ

項目内容
書名いちばんやさしい会計の教本 — 人気講師が教える財務3表の読み解き方が全部わかる本
著者川口宏之(公認会計士)
出版社インプレス
出版年2018年11月
いちばんの収穫数字は同業他社と並べて初めて意味を持つ、と言語化された
読後の変化同業他社を必ず一緒に開くようになった/CFと在庫を見るようになった
おすすめ読者簿記3級を学習済み、決算書をもう一段読みたい人
おすすめ順番①簿記3級 → ②本書

私は投資5年やってきて、ようやく 「決算書を読む」が自分の道具になりつつある 段階です。この本は、その移行を後押ししてくれた1冊でした。

書店で会計コーナーを見て「入門書を1冊どれにしようか」と迷っている方は、簿記3級を終えてから手に取ると、私と同じように楽しめるかもしれません

書評シリーズ、続けます

今回から始めた 書評シリーズ では、これからも自分が読んでよかった本を1冊ずつ丁寧に紹介していくつもりです。投資本に限らず、自分の判断や考え方に効いた本 を中心に、率直に書いていきます。

次回もお楽しみに。

本記事で紹介した本

📕 紙版

📱 電子書籍版


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ちゃぴっと

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